福井県敦賀市和久野剱神社。和久野の古くからある神社で気比社記にも書かれており、稲荷を合祀する。
幹線道路のコンビニ近くに杜があるため何なのかと思った方もいるかもしれない。稲荷神社跡は西和久野黒河川沿いに今もある。この和久野の神社について見ていく。
地理
和久野集落の南西に位置し、現在は住宅も増えて和久野の真ん中にあるような位置関係になっています。
鎮座地字名は「岸ノ上」。
ファミリーマートと和久野口バス停のある交差点の角に立地し、境内には和久野公会堂があります。
現在は幹線道路の交差点となり、車通りもそれなりにある道沿いにありますが、正面が集落方面を向いているので、道側からはただの茂みのようにしか見えません。古くは里道だったようで、神社も一村の神社という感じだったようです。
祭神・由緒
祭神:劔大神、倉稲魂命
古くから劔大明神を祀り、気比宮社記に「祭神玉依姫」とある。明治九年七月十七日に村社。大正二年四月七日に東組地籍の稲荷神社を合祀。
石の鳥居をくぐり、斜めに進み赤い鳥居をくぐると社殿です。
社殿両脇に境内社があります。
境内社
神明神社 天照皇大神、豊受大神
山神社 大山祇大神
公会堂が右隣にあり、遊具付きの公園が左隣にあり、その一段高い真ん中に社殿があるというような構造です。昔ながらの集落の神社といったところでしょうか。
古の和久野の姿を残す杜
現在も木々が茂っている神社境内南側の区画。公園になっていますが、タモの巨木が力強く立っており、鬱蒼としています。
この杜は敦賀郡神社誌にも書かれています。
社域には樹木鬱蒼として繁栄し、特に南方は椎・タモの常緑樹林立して、幹圍一丈以上に及ぶもの数本あり、また杉幹圍丈余のもの二本あり、社域は青垣を繞らして神厳な神奈備森である。
引用:『敦賀郡神社誌』
周辺は道路や住宅地が開発されていき、かなり昔の風景とは違うものになっているようです。
和久野で地元の方に話をした際、
元々は神社の森が西和久野の南端で、神社北方に集落があっただけの場所だった
という内容のことをおっしゃっていました。
それでもまだ枠の集落の目印になる、この神社の森は生きています。古くからの和久野の姿です。これが残っているのは素晴らしいことです。
稲荷神社跡
話を聞いた地元の方に和久野の史跡などを教えてもらった際に、「東和久野の川沿いに稲荷神社跡がある。」ということを教えてもらいました。
その方の話では、「今は西和久野の劔神社に合祀された」ということです。
私は後に郷土史を調べたので、郷土史にも「大正二年四月七日に東組地籍の稲荷神社を合祀」と書かれていたので、その答え合わせが出来たことはとても喜ばしいことです。
写真の通り、今でも稲荷神社跡がちゃんと残っており、石碑までたっているという状況です。
しかも石碑にもちゃんと「稲荷神社旧地場」と刻まれています。
いかに大切に祀られていたかがわかる光景となっております。
和久野は敦賀の平野部にありながらも田園を残し、社叢を残し、神社跡を残す。古くからある敦賀の形を残している貴重な土地なのでした。
参考文献
『敦賀郡神社誌』
『福井県神社誌』
『御大典記念福井県神社誌』
協力
和久野の方
基本情報
最寄り駅 | 敦賀駅からバスに乗り換え和久野口バス停下車すぐ または敦賀駅からバスに乗り換え和久野バス停下車徒歩2分 |
自動車 | 敦賀ICから10分 |
駐車場 | なし |
他、和久野について
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