平泉寺の東尋坊屋敷跡と血に染まった井戸【勝山市】

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東尋坊
それは、福井県を代表する観光地であり名所。多くの観光客が訪れる景勝地。
しかしその名の由来は、福井のもう一つの名所、平泉寺白山神社とも繋がっています。

東尋坊と言えば福井県坂井市三国安島にある福井の一大観光地ですが、その名の由来は、この崖から落ちたという悪僧「東尋坊伝説」に由来するともいわれています。

その「東尋坊」の名は、三国から遠く離れた勝山のある場所にも存在します。
それが今回取り上げる「平泉寺白山神社」

少し恐ろしい言い伝えが伝わる、福井県勝山市平泉寺の東尋坊の痕跡

今回はその東尋坊について、福井県勝山市から伝説を探っていきたいと思います。

平泉寺の東尋坊の話

 寿永(1182~)の時代に、平泉寺数千坊に東尋坊という悪僧がいたとされます。
この東尋坊は寿永元年四月五日、衆徒の海辺遊覧の時に酒で酔わされて、他の者たちの日ごろの恨みから断崖絶壁の下へ突き落されました。東尋坊はこの時、そばにいた法師らを掴み道連れにしました。すると晴天が一転し雷雨となりました。
 その後は毎年四月五日の平泉寺白山神社の川上御前の祭礼の時は、東尋坊の怨霊が黒雲に乗って平泉寺へ登ってきて、近隣の船の往来はできなくなるといわれています。

参考:『大野郡誌』

この悪僧伝説の「東尋坊」という僧は、平泉寺の僧の一人だったというわけです。

そんな平泉寺の僧「東尋坊」について、坂井市の東尋坊以外にも、勝山市の平泉寺にその名を見ることのできる場所があります

それは、屋敷跡と井戸です。

どこにあるのか、どんな場所か

平泉寺の駐車場

福井県勝山市平泉寺地区、平泉寺白山神社参道途中に「まつや」というそば屋があり、駐車場があります。(上写真)

道を挟んで「との蔵」という店があります。

この店の辺りが東尋坊の屋敷跡だったと言います。

東尋坊屋敷跡

説明板も残っており現地でもその由緒や発掘の際の写真を見ることができます。

その「との蔵」東側の道沿いに、「東尋坊跡」の石柱が立っています。

平泉寺東尋坊

この先に、東尋坊伝説につながる。いや、もはや「坂井市の東尋坊に繋がる(とされる)」場所があります。

ちなみに石柱の横にも説明が書いてありますが、少し読みにくいので、この先の説明板で見るのもいいと思います。

東尋坊の伝説と血に染まった井戸

タイトルがかなり不穏な空気を漂わせていますが、その井戸が石柱の先の道にあるこの場所です。

東尋坊屋敷跡

木の柵で囲まれています。下には説明板もあります。

そこには、「東尋坊屋敷の井戸」という名でこのようなことが書かれています。

悪僧東尋坊が三国の絶壁から突き落とされた。そのため井戸は血の色に染まり、その後も井戸に米ぬかを入れると三国の海に浮かび上がると伝えられる。

『平泉寺史要』には、このような記述もあります。

裏の井戸水が七日間真っ赤な血の色に染まった。

参考:『平泉寺史要』
東尋坊の井戸

東尋坊の怨念が、井戸を血で染めました。
そして、この平泉寺の井戸と三国東尋坊はつながったのです。

そこには確かに、怨念の伝説が形として残っていました。

そしてもう一つ血に染まった池があるといいます。
その名も「かっぱ池」

命日に血に染まる「かっぱ池」

かっぱ池にはこんな伝説があります。

東尋坊が崖から落とされた日になると、平泉寺の白山神社の「かっぱ池」が赤い血に染まる。

参考:『平泉寺要史』

このかっぱ池は平泉寺の白山神社、つまりこの境内にあるとのことです。
しかし、地図や観光案内などを見ても「かっぱ池」の文字は見つかりません

これに関しては、平泉寺白山神社にある『白山平泉寺歴史探遊館まほろば』さんで尋ねてみることにします。

平泉寺まほろば

入館無料です。

ここの職員の方に伺ってみたところ、わざわざ『平泉寺要史』を持ってきてくださり、見てくださりました。ありがたいです。
そして、以下の返答をいただけました。

  • 東尋坊の血が染みた所は井戸であると伝わっており、「かっぱ池」の伝説は今は伝わっていない
  • 平泉寺白山神社で伝わっている池は「御手洗池」しかない。
  • もしかしたら人が寄り付かないような場所にある池の可能性もある。ただ、伝わっているのは東尋坊の井戸だけである。

つまり、「かっぱ池」という池は現在、正式には伝わっていないとのことで、東尋坊の血が染みたという場所も平泉寺公式の職員の方の話では「東尋坊の井戸」だけということです。

これは、派生して出来た新たな伝説なのか。それとも、本当に人知れず存在しているのか。

ただ、少なくとも東尋坊の血が染み出たと伝わる井戸は今もあるのです。

ひっそりと「それ」は存在する

「東尋坊」。

福井県内各地に伝説が伝わっています。

そんな東尋坊につたわる伝説は、遠く離れた勝山市平泉寺にも存在し、この二つの地域と名所を繋いでいます。

現在、平泉寺白山神社が有名になりだし、多くの参拝者が足を運ぶ中、その片隅にひっそりと目立たぬように、建物や草木に隠れながら、東尋坊の井戸と伝説は確かに存在し続けているのです

協力:『白山平泉寺歴史探遊館まほろば』

参考文献:『大野郡誌』『平泉寺史要』、他現地説明

基本情報(アクセス、最寄り駅バス停、駐車場)

最寄り駅えちぜん鉄道勝山駅から京福バスに乗り換え、平泉寺神社前で下車、徒歩1分

自動車だと勝山ICから車で12分大野ICから車で9分

駐車場は、平泉寺のメインエリア周辺に4か所菩提林前に1か所あります。上記アクセスの2つ目のルート沿いにある第一、第二駐車場が広いのでそこに停めるのが良いと思います。ただ、有料になっている場所もあるので、300円は用意した方が良いと思います。バスの駐車場は有料のようです。

マップへ


他にも、平泉寺白山神社の伝説はまだまだあります。

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