福井県坂井市にある、一集落で信仰されてきた地蔵菩薩。
ここは、村から口・歯のご利益を祈願されてきました。
ほとんどの方が気に掛けるであろう、口や歯の健康。
今回そんな口・歯にご利益のある地蔵さんを探します。
どこにあるのか
この地蔵さんのいわれが伝わっているのは、福井県坂井市兵庫地区北兵庫です。
過去に「火霊神社」を取り上げました土地になります。
火霊神社は荒ぶる神として祀られており、兵庫地区はそういった伝説や信仰が厚い土地です。
今回の歯臭除減地蔵菩薩もそんな伝説や信仰の一つです。
この歯臭除減地蔵菩薩のある北兵庫は、現在の下兵庫内の集落。
その集落の入口にあるとされます。
お堂があるそうなので、見つかるはずです。
歯臭除減地蔵菩薩について
由緒
由緒を見ていきます。
北兵庫入口の広場の一角に地蔵堂が祀られ、昔から歯臭という病気を治すと伝えられ、昭和初期まで、区の方で夜明け前に参詣する人が見受けられた。しかし、最近では医者に通い直すので、お参りをする人は見られなくなった。 参考:『淵竜は生きている ふるさと兵庫』 |
今も昔も、歯や口の病気や臭いに関することは、とても気にかけることだったというのがよくわかります。
「北兵庫入口の広場の一角」というのは、現在も見受けられます。
北兵庫集落の南側に広場があります。
地面はアスファルトですが、滑り台やジャングルジムなどの遊具も置いてあり、公園みたいな場所なのかもしれません。
その中の一角にお堂があります。
扁額や標識、石碑などは一切なし。
しかし、
- 北兵庫には、他にお堂や祠らしきものはない。
- 集落の入口にある。
- 広場の一角にある。
などを踏まえると、おそらくこれが歯臭除減地蔵菩薩のお堂なのでしょう。
今昔の祭り
毎年8月24日が祭りだったが、最近は秋が早くなり、農作業も早まったので、1ヵ月早く7月24日に行う。 以前は盆踊りを行い、近くの方々がお参りした。青年や子どもが踊り、輪を作って賑やかだった。今は子供会で祭りの行事を行い、夜は子供ののど自慢会が行われ、皆見に集まっている。 (上記は1982発刊の『淵竜は生きている ふるさと兵庫』による説明。現在も続いているかは不明。) 参考:『淵竜は生きている ふるさと兵庫』『えんりゅう』 |
かつては、それは賑やかだったことでしょう。
地蔵堂前でこれほど村の催しが行われていたという事は、それほど慕われていた存在だったという事です。
上記に記した通り、今も続いているかは不明ですが、もし続いていたら、かつて歯や口のご利益として祀られた地蔵は、そのご利益とは関係なしに現在まで慕われているのです。
今も慕われているであろう地蔵さん
昔は歯や口に関して、特に集落では容易に医者に通うことができず、神頼みするしかなかったのでしょう。歯医者がいたる所にでき、医者で直せるようになった今は、歯や口に関してお参りする人はいなくなってしまったのでしょうね。
ただ、道が整備された後でも、今も遊具などと同じところに祀られていること、区内の催し物が行われていたということは、この集落にとって守り神のような存在なのかもしれません。
これからも、この北兵庫集落を見守り続けるのでしょう。
参考文献
『淵竜は生きている ふるさと兵庫』
『えんりゅう』
基本情報(アクセス、最寄り駅)
最寄り駅は、えちぜん鉄道三国線下兵庫こうふく駅から徒歩11分。
駐車場はありませんが、広場なので邪魔にならないように停めましょう。
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