陶の谷の死人坂に伝わる妖怪河童伝説と地蔵【越前町宮崎村】

当記事には広告(商品リンク、旅行予約リンクなど)を掲載しています。
※ステルスマーケティング防止のため

福井県越前町旧宮崎村陶の谷の一角、長岡グラウンドの近くに坂がある。

ここの坂は、「しんじん坂」と言われ、近くにはサンマイがあり、さらに河童に襲われるという話があるなど、この宮崎の地でかなり曰く付きの坂とされている。

今回その2つのいわれがある坂へ行ってみる。

2つの曰く付き

というわけで今回の目的地は、曰く付きの場所です。昔の人々からは恐れられていた場所なのでしょう。

まずはその言い伝えを見ていきます。

「しんじん坂」のいわれ

宇須尾から上野へ出る辺りは昔は昼なお暗いぐらいに木が繁っていて、そこにサンマイがあり、しんじん坂と呼んでいるが「死人坂」の転訛したものであろう。
引用:『宮崎村誌』

一つ名いわれは、近くにサンマイがあるが故に恐れられたためか「死人坂」という名前を付けられていたという話です。それともここは野辺送りで良く通る場所だったかもしれません、

河童の伝説

陶の谷の長岡グラウンドから少し歩いたところに坂がある。そのかどに竹がたくさん生えていた。そして、その近くにお地蔵さんが一体立っている。ここを人が通ると、よく河童が出て人をだました。河童は人の姿になって泣いている。人が何だろうと思って近づくと、近づいた人に風呂敷をかぶせて川の中に飛び込んだそうである。だからここにはお地蔵さんが立っているという事である。
引用:『宮崎村誌』

先ほどの死人坂の影響を組んでいるのか、この不気味な河童伝説です。

しかし特に命にかかわることはないみたいですね。ただ人に風呂敷かぶせて川へ逃げたってことですよね。何ともいたずららしいいたずらです。しかしまあ、不気味ではある。

どこにあるのか

所在地は「陶の谷」ですが、位置的には宇須尾区と上野区の間にある坂です。

河童の地蔵1

ここは剣神社の前です。

向こうに見えるのが「死人坂」
手前右にあるのが、「河童の地蔵」だと思われます。

伝説では、「宇須尾から上野への道」とか「長岡グラウンドの近くの坂」とか書かれ、ぱっと見断定できる場所は無いですが、この2つに当てはまって、「サンマイ」「地蔵」があり、河童が飛び込んだ「川」がある合計5つの条件がそろっているのはこの場所しかありません

河童の地蔵

河童の地蔵2

上に剣神社があります。その下に河童の為に置かれたという地蔵さんがいます。

地蔵さんは今はここにいますが、グーグルストリートビューで見ると、昔はちょうど坂の辺りにあったようです。なぜ移動させたのかはわかりませんが、坂の改修工事でもしたのかもしれないですね。

河童の地蔵3

地蔵さんは古そうですが、お堂や花立の台座などは改築されたようです。お堂は比較的古そうには見えますが。

そしてもう一つ注視すべきは、「野区」が改築したという事。つまりこの辺りは、陶の谷・宇須尾・上野・野の4つの地区の交通が交わっている場所という事です。どうりでこのような言い伝えが流行るわけです。人がいる所に話が生まれます。

ちなみにこの地蔵さんは、「河童のため」と伝説で言われていましたが、もう一つ「サンマイの地蔵」という見方もできるかもしれません。実際に『宮崎村誌』ではサンマイと地蔵の関係を記している項目があります。というわけでその坂へ行きます。すぐそこです。

しんじん坂とサンマイ

死人坂1

右の坂が「しんじん坂」と思われます。上の方に墓がありますね。あれがサンマイです。

そして左には河童が逃げ込んだであろう川があります。条件ばっちりです。

坂の斜面がブルーシートに覆われています。やはり改修工事をしたのかもしれないです。

死人坂2

上から見た「しんじん坂」

こう見ると河岸段丘になっているのですね。奥のサンマイは一部盛り上がっていますが、火葬されていた場所でしょうか。とくに火葬場などは残っておらず、後も見た感じ無かったので近くでは撮っていません。

昔はここに草木が繁り薄暗く、それはそれは不気味な場所だったのでしょう。

長岡グラウンド

向こうには長岡グラウンドがある丘があります。長岡グラウンドから歩いてすぐの条件もちゃんとクリアできます。

河岸段丘らしきものを見渡せます。一見「湖でも張っていた」のかと思うほどです。

とにかく、伝説で述べられていたすべての条件をクリアした場所であるこの坂で間違いないと思います。

怖い伝説は交通の要衝に

先ほども言いましたが、この坂は4つの地区が交わる場所にあります。それぞれの地区の交通のため昔はよく使った坂だったのでしょう。

そんな場所にサンマイや薄暗い坂があるというのは、なにか恐ろしいうわさが流れてもおかしくないです。

だから河童が出るという伝説が生まれたのか。それともサンマイに近づかないように子供たちに促した伝説が河童の伝説だったのでしょうか。

いずれにしても曰く付きの坂。いまでは木々は無く開けた場所です。ご安心を。

参考文献
『宮崎村誌』

基本情報

最寄り駅バス停北陸本線北鯖江駅からバスに乗り換え、陶の谷バス停で下車徒歩3分。
自動車鯖江ICから16分。
駐車場剣神社前

マップへ

【当サイトはリンクフリーです】

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
越前町
スポンサーリンク
シェアする
  • コメントはメール返信ができませんので、該当ページ上での返信となります。
  • コメントは審査をしますので、反映・返信までに数日かかる場合があります。(1週間経っても反映・返信されない場合はサイト運営者に何かあったと思ってください)

コメント