福井県南越前町長沢に丸山という所があり、そこには獅子岩という場所があります。その場所には弁慶の伝説や杣山合戦の伝説が残されているといいます。
またその周辺には今は桜並木が植えられており春には桜が咲き誇っています。
今回はその界隈の話と現地の様子を見ていきます。
獅子岩伝説
弁慶
長沢の入口の街道切割りの山を丸山といい、丸山の宅良川に面した出鼻を獅子岩といっている。獅子岩は、弁慶が杣山から投げ捨てた石が、ここに落ちたのだという。
引用:『越前若狭の伝説』
昔、弁慶が義経のおともをして越前を通った時、杣山の上から投げ落とした大きな岩が、ここにひっかかって獅子の頭のように出っ張っているのだそうです。
引用:『私たちの郷土 宅良の里』
杣山合戦
杣山城の合戦に、この獅子岩の所を、牛の皮千枚と馬の皮千枚をつづり合わせて、宅良川の水をせき止めた。そして瀬戸まで一面に水たまりとなったと伝えている。
引用:『越前若狭の伝説』
杣山合戦のときには、長沢の坂尻からこの獅子岩までの間を牛の皮千枚と、馬の皮千枚を繋ぎ合わせて、田倉川の水をせき止め、瀬戸までダムのように水をためて、お城の水攻めをしたという伝説があります。
引用:『私たちの郷土 宅良の里』
獅子岩について
久喜から県道を歩いてくると長沢の入口で道が坂になります。この坂の左側の山を「丸山」といい今は土建業者が土を取ってだんだん形が変わってきていますが、この丸山の先の方、田倉川に突き出たところを獅子岩といいます。
引用:『私たちの郷土 宅良の里』
長沢集落側(東側)から見た丸山先端部。右に宅良川が流れています。この先端に獅子岩という岩があるということですが、見た感じはっきりとそれを認識することはできませんでした。道路も新しく拡張され、それに伴って土砂崩れ防止のコンクリートもあるので獅子岩が削られた可能性もあります。
ただしそれらしいものは山の上をみるとありました。
少し岩肌が見えているのが分かるでしょうか。これが出っ張っていると言えるかどうかは怪しいですがこんな状態です。
それとも下の方にある岩肌を獅子岩といってもいいのでしょうか。道路拡張がなされる前は出っ張っていたのかもしれません。
いずれにしましても現状はこのようにはっきりと獅子岩という物は認識できなくなっています。地名として残っているのでしょう。丸山はここで間違いないので、「丸山の北先端にある獅子岩」ということさえ分かれば伝承は続いていくことでしょう。
上写真は左が宅良川、右の山が丸山、ということはその先端が獅子岩です。獅子岩までは桜並木の先導で行けるということです。そしてここが伝説にあったとおり、牛の皮千枚、馬の皮千枚を繋ぎ合わせて水をせき止めて水攻めのダムを造った場所です。想像できませんね。
桜並木
さて、上写真で見た通り、この獅子岩周辺には桜並木があります。宅良川沿いに全長1.4km道沿いに途切れ途切れではありますが穴場の桜のスポットです。
撮影は2023年4月2日。
桜の下はちょっと平らな地面になっており、ここでシートをひいて花見を楽しんでいる方もいらっしゃいました。地元の方なのかはわかりませんが、すくなくともこの地域の方の花見場所となっていることは違いないでしょう。
参考文献
『越前若狭の伝説』
『私たちの郷土 宅良の里』
基本情報
最寄り駅 | 今庄駅から徒歩1時間 |
自動車 | 今庄ICから8分 |
駐車場 | なし |
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