今回、福井県池田町の「部子神社(へこじんじゃ)」についての訪問レポートと、その神社に伝わる伝説を見て行こうと思います。
白粟地区と神社
この部子神社は白粟地区にあります。
「白粟」とは、MAP上では松ヶ谷内にある集落です。
白粟はもと白泡とかき、大きな波でその水泡の白く見える所だったといいます。
白粟はgoogleマップでは出てこないので、少し探しにくいかもしれませんが、部子神社は出てくるので神社で探せばよいと思います。
部子神社は国道476号線沿いにあります。
この部子神社は、古くより地域から信仰されてきました。また、様々な伝説や言い伝えが残る神社でもあります。この一千数百年の歴史のある氏子が、崇め祀る神社の由緒も又古いそうです。
現在足羽川ダム建設地となっている大本集落とも関わりのある神社で、その関係がわかる伝説も伝わっています。
まずは、神社に伝わる伝説を見ていきましょう。
部子神社の伝説と由緒
1つ目の伝説は「龍」です。本殿のあたりに雄龍雌龍がいます。この龍の長さ二間、この宮の薬師瑠璃光如来の使いとしてこの宮を守護し、夜な夜な足羽川の淵に水飲みに行くという話があります。その様を目撃した人もいると伝えられ、後人のこれをおそれ、遂に鱗を二三枚取った為、その後出なくなったと言います。 参考『福井県の伝説』 |
こういったように、この神社にはかなりの言い伝えがあり、昔から由緒のある神社だったことがわかります。
伝説内に「この宮の薬師瑠璃光如来」とありますが、この辺りの村では、神社に仏像を祭神とする形が多いといいます。なのでこの部子神社の本尊というか祭神は、薬師如来です。昔は薬師社と呼ばれていたそうです。
町指定文化財と指定されている、薬師如来「薬師三尊立像と光背」に関する説明も現地に書いてあります。
さて、こういった伝説や由緒を踏まえて現地の様子を見ていきます。
部子神社の現状
今回、竜の伝説をメインの目的とします。
伝説にある通りの龍は今もいるのか不安です。今現在はもういなくなっている可能性もありますが、今はなき大本集落と、古の神社の伝説というものは、この龍がいれば直で感じ取ることができるでしょう。(伝説好きとしても龍の伝説を目の当たりにできれば、ものすごくうれしい)
では参拝です。
鳥居をくぐりると、なんとも不思議で一気に神さびた空間に入ります。
どうも拝殿がもの凄い年月を感じるのです。
龍の伝説を事前に知って来たからか、なおさら異界に飛び込んだ気分になります。
龍がいたというのは「本殿のあたり」というので、拝殿の後ろに失礼します。
すごい、重々しい空気です。
とにかく、本殿の周りを見れるだけ見てみようとまずのぞいて挨拶をすると、
虹梁のところに、二匹の龍が巻き付いて向かい合っています。
雌雄の龍。
今もいたのです・・・
この龍が、伝説にあった龍でしょう。
これはたしかに、動き出しそうなほどの龍です。かっこいい!そしてこういうのもなんですが、かわいい。
この子たちが足羽川に水飲みに行ってたんですね。
目の前に実物があると、やはり気分が高まります。
当時の物はかわかりませんが、今もここにこの形で残り続けていることが素晴らしいと思うし、意味のあることだと思います。
今も白粟と大本を結ぶ2体の竜
以上、部子神社でした。
龍がいてくれたことはもう本当に最高の気分です。
この張り詰めた空気。人間界とは別の領域をかもし出す部子神社。伝説と信仰を伝える素晴らしい神社です。
また、たとえ足羽川ダム建設で大本集落がなくなっても、伝説と伝説に登場するこの龍が存続している限り、この神社で大本を偲ぶことが出来るでしょう。
この神社の信仰と、語り継がれる伝説は今後もこの形をしても残り続けてほしいです。
参考文献:『福井県の伝説』
基本情報
アクセスは、池田町松ヶ谷内白粟地区の国道476号線沿いです。車通りの多い道沿いなので少し注意が必要です。
駐車場はありません。迷惑にならないように気を付けましょう。
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