藤鷲塚八幡神社 ~不憫なつがいの荒鷲伝説と名前の由来【坂井市】

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藤鷲塚八幡神社

福井県坂井市春江地区。
藤鷲塚という集落があります。

名前からして、何か由緒ありそうな予感がするこの集落には「荒鷲」の伝説が伝わっています。

今回はその伝説に関しての話になります。

どこにあるのか、どんな場所か

藤鷲塚

福井空港の西側にある集落です。
春江丸岡線が通っているので、若干車通りのある集落です。

あと何よりもこの集落で有名なのは、四月下旬~五月上旬にかけて花が咲く、集落内の白山神社にある藤の花だと思います。SNSにもよく上がっています。

藤鷲塚の「藤」は、言うまでもなくこの「藤」から来ているのでしょう。

では、「鷲塚」というのは、今回の話になります。

藤鷲塚伝説

大昔にこの村に樫の大木があった。そこに雌雄の鷲が巣をつくり、村人に危害を加えるようになった。村人は話し合い、この鷲を打ち取った。後の祟りをおそれて、八幡宮として祀った。この時、雌鷲は逃れて吉田郡の川合鷲塚に止まった。

参考:『福井県神社誌』『春江町史』『越前若狭の伝説』『御大典記念福井県神社誌』『春江の民話』

『春江の民話』と『春江町史』の方には、「三百年程前に樫の大木があった」と書かれていますが、これは八幡神社由緒の文として書かれたものであるようで、これが書かれた時代も『春江町史』の文章の書き方を見る限り相当昔に書かれたものです。なので、今でいうと300年前なんってものじゃなく、もっと昔になるでしょう。

また、この時逃れたという雌鷲がたどり着いたのが、川合鷲塚という事です。
以前当サイトでも紹介しました。

ここにつながる伝説という事です。

見て頂ければわかりますが、この川合鷲塚の伝説は継体天皇以前の時代の話になるので、こちらと併せて見ると、古墳時代以前。1500年以上前という事になってしまいます。
それとも、逃れた雌鷲はもしかしたら川合鷲塚2代目なのかもしれませんね。後の時代にもう一度鷲が飛来したという話なのか。

でも、私は個人的に繋がっている物語として、大昔の話であった方がロマンがあるなぁと思ってしまいますので、そういうことにしておきます。
それに、『越前若狭の伝説』でも関連付けられていますし。

八幡神社

神社について

藤鷲塚八幡神社社殿

祭神:誉田別命
創建年不詳。昭和23年に福井地震で全壊の後再建。『御大典記念福井県神社誌』

祭神は八幡神ですが、伝説によれば、鷲の霊を祀ったのがこの八幡神社の始まりということでしたね。川合鷲塚の鷲塚神社の方も、鷲の伝説に由来して建てられた神社でしたが、こちらも鷲の供養として建てられたという神社ということで、なかなか良い場所です。

境内社

藤鷲塚八幡神社内祠

『御大典記念福井県神社誌』によると、境内社に白山神社があるようです。

これの事でしょうか。
八幡神社社殿の左側にありました。

でも何も文字が書かれておらず、謎です。仏像のようにも見えますが、この辺りの地区では、神社の祠に石仏を祀ってあるのがほとんどなので、おそらくは神社であろうと思います。

藤鷲塚伝説に思い馳せ

鷲は「樫の木の大木」にいたという事でした。
今でも残ってないかなぁと思いながら少し見回ってみると、大木というわけではないですが、樫の木がありました。

藤鷲塚八幡神社境内

神社左の木が並んでいる所です。

なんかちょっとだけ瑞垣が残っていますが、その木ではありません。その木の後ろの木です。

大木ではないにしても、それなりに育っている木です。

かつての樫の木の子孫なのか。伝説の聖地として後に誰かの手で植えられたのか。

見た感じこの木が境内にある唯一の樫の木でしたので、なにか伝説との因縁を感じるものがあります。

藤鷲塚集落について、名前の由来など

先ほど継体天皇の時代の話が出てきましたが、実はこの藤鷲塚も継体天皇の時代にゆかりがあります。その時代この辺り一帯は湖で島が点在していたそうで、この藤鷲塚の地に藤のつるが茂った丘があったと言います。そこに人が住み着き村ができたのが始まりらしいです。

この村の名前「藤鷲塚」について、このような伝説があります。

村に鷲田という人がいた。新田義貞の家来で画家だったと言い、その人が描いた絵は最近まで保存されていたらしい。この人は村の人々に慕われていて、「村の名前を付けてほしい」と頼まれたという。なので、昔ながらの村の象徴「藤」と、鷲田の「鷲」の字を取って、「藤鷲塚」にしたと。
参考:『春江の民話』

って、えぇぇ!?
名前の由来、鷲伝説関係ないじゃないですか!

これが本当の話ならあれですね。鷲の伝説後付け説が・・・。

いや、そんなことはどうでもいいのです。伝説として伝わっているならそれは両方伝えていくべきです。だってそっちの方が楽しいから。

不憫な動物たちの伝説

なんだかんだ、こういった動物たちの不憫な伝説って多いと思うのです。

とかいって、現代でも通じる話でもあるんですよね。

人間の基準で動物を駆除する。人に害を成すって言っても、彼等だって人に害されているし、むしろ彼らの方が生きるのに必死で抵抗しているわけで。

一番わかりやすいのが、ツバメとカラスかな。ツバメはかわいいし小さいから、多少糞害があっても人間が巣を守るけど、カラスは見た目とかもあるし少し攻撃的だから、人間に巣を駆除される。この差です。

昔からあるんですね。

参考資料
『福井県神社誌』
『春江の民話』
『春江町史』
『越前若狭の伝説』
『御大典記念福井県神社誌』

基本情報(アクセス、駐車場)

最寄り駅は、えちぜん鉄道三国線西春江ハートピア駅から徒歩15分

自動車では、丸岡ICから12分

駐車場は、神社前の藤鷲塚公民館

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