福井県おおい町若狭大島半島の集落に道の上に縄が張ってあります。これを勧請縄とか蛇縄とか言います。
災厄から村を護る結界のようなもので御祈祷は村のオコナイです。この風習の一部。村の蛇縄を見ていきます。
郷土史に見る勧請板と蛇縄
勧請縄・蛇縄
これは正月の御祈念につらなる行事で、集落によってはお日待ちと合併している所もある。大島では各集落のオコナイ(御祈祷)の日行う。集落内の安全と災厄から守られるための行事で、神式・仏式慣例に従って行っていた。現在なお厳重に行っているのは大島の勧請版つるしであり、昭和二十五年頃まで行われていたのは川上の蛇縄ひきである。
引用:『大飯町誌』
古くから伝わる日本の風習を今に伝えているということですね。
大島で有名なニソの杜にしても日本の神社の原型ともよばれていますし、この大島はそれほど古の日本を表している地区ということでしょう。
では私が現在行って確認できた勧請板と蛇縄を2か所紹介しましょう。
大島で現在確認できた勧請板と蛇縄
浦底
訪問時が11月なので結構ボロボロでした。
この板が勧請板。しめ縄が蛇縄です。
太シメ縄が蛇縄、その中央に吊るした木札が勧請板、房の下がっているのがキヅタの枝葉、両側の下木の根元に月数だけの杭がある云々
引用:『大飯町誌』
不思議な風習ですね。
いや、これが当たり前だったのでしょう。
今は支柱は木ではない場合もあるようです。そこは時代の流れでしょうか。
河村
西村の方はまだボロボロになっていませんでした。普段はこんな感じで勧請板は正面を向いているようです。
旧道とかではなく、普通に車道の上に在るので見つけやすいです。やはりそれくらい当たり前の風景なのでしょう。
こういった風習を目にすることができるのは素晴らしいことです。
古の風習が続く村
古の風習が続き、今この現代においてもそれを目にすることができたのはとてもありがたいことです。
ただ、むかしはもっとたくさんあったようです。
『大島半島のニソの杜の習俗調査報告書』の地図を見ますと、各集落ごとに最低一つはあった様で、それでも現在は無くなっていた場所もありました。(時期的にそういう時期だっただけかもしれませんが)
古い風習は無くなってきていることを考えれば、この風習もいずれ廃れてしまうのではないかと不安もあります。その前にこうして記録できたことはありがたい事でした。
今後もこの日本の風習が、この若狭大島の地に残り続けてくれることを願っています。
参考文献
『大飯町誌』
『大島半島のニソの杜の習俗調査報告書』
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