福井県美浜町丹生に阿弥陀寺というお寺がありました。現在は龍渓院と合併してなくなりましたが、今回はそのお寺の在りし日の様子を紹介します。かつては若狭三十三観音霊場第4番でした。近年では狐の玉でも有名になったお寺です。
地理
敦賀半島の美浜町側に位置する丹生区は美浜町側では先端部分に位置しています。
丹生には阿弥陀寺と合併する龍渓院、そして浄土真宗の三つのお寺がありました。
阿弥陀寺は村の山際にあり、阿弥陀寺への道は狭く車一台がやっと通れるような道なので慣れていないと危険です。
創建
阿弥陀寺と龍渓院は文政年間に建立されたということです。
郷土資料には
龍渓院。曹洞宗丹生に在り。十一面観世音、脇立地蔵菩薩・不動明王を安置す。芳春寺末なり。
(中略)
阿弥陀寺。曹洞宗同区にあり。遠敷郡長英寺末なり。
引用:『三方郡誌』
と書かれており、末寺で考えるとそれぞれ違うお寺が本寺であるということが分かります。本寺は違えど同じ宗派であるがゆえに合併したようです。
かつては若狭三十三観音霊場第4番でしたが、それも廃止されることになります。
阿弥陀寺の様子
本堂前の広場の中央に木が生えていることが印象的です。
若狭の木を信仰対象とする心がここにもあるのでしょうか。
庭園。
石塔も多くあります。
このように合併の看板が立てられています。
興味深い石仏がありました。
善光寺
みはここに こころはしなの ぜんこうじ みちびきたまへ みだのじょうどに
善光寺御詠歌です。
かつて取り上げた、埋葬地の埋め墓上の霊屋に掲げられていたという善光寺御詠歌がここにありました。
土葬文化のあった若狭の地でこの歌を見ることができるのは特別な気分になります。
阿弥陀寺は確かにこの地に根付いていたお寺だったということです。
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