福井県美浜町にそびえる御岳山。
現在はあまり人の来ないこのルートはクマなどの痕跡があります。「国吉城山・御岳山コース」ともされ、国吉城から登るのがベターですが、神社のルートもあるといいます。
標高・難易度・所要時間はもちろん、道のりの特徴や鉱山のトロッコの残骸などを見ていきながら山頂を目指します。
今回は「前編」として、城山コースの登山の様子を見ていきます。
次回は下山をしながら、宮代コースと山岳信仰の痕跡を見ていきます。
御嶽山について
福井県美浜町宮代、彌美神社の背後にそびえる山。
名称:御岳山(御嶽山)。読み方は「おたけやま」
別名:伏見岳
標高:549メートル。(現地では548mと表記される)
地質:美浜層の輝緑凝灰岩とチャートで構成。
国吉城とは尾根続きとなっている。
登山ルートは主に国吉城から。一応彌美神社からの道(宮代コース)もあるようですが、登るには適しません。次回その理由がわかります。
国吉城ルートから登って、彌美神社ルート(宮代コース)で下山します。
御嶽山登山[登山道道中]
国吉城から御嶽山へ
前回、国吉城頂上まできました。
その一番奥にこのような看板がありました。
約90分で御嶽山山頂に行けるようです。本当かはわかりません。
一応国吉城道中からも御嶽山らしき山が見えていました。
しかしおそらくここで見えているのは山頂ではないでしょう。もう一つ向こうが山頂と思われます。
というわけで、国吉城から御岳山へ行こうと思います。
御岳山への道?
先ほどの「御嶽山山頂まで~」の看板のすぐ横、御嶽山側に斜面があります。
ぱっと見登山道には見えないのですが、他に探しても道がなかったのでここから行くのか?と疑いながら試しに進んでみることにしました。
7:40スタートです。
するとこのような赤いテープが巻かれた木が出現しました。向こうにはロープもあります。
どうやらこの赤いテープに沿って行けばいいような雰囲気なので、ここは直感でこのテープを信じて進むことにします。
御岳山道中
見れば見る程「本当に登山道か?」と疑うほどの道。
しかし、
所々にこのように赤テープが巻かれています。
進みます。
見た感じ、城山からずっと尾根を進んでいるようです。
この調子で尾根伝いに進んでゆくのでしょう。
進んでいくと、草茂る部分は若干道が出来ていますね。しかし、これは夏くらいには進めそうにないと思われる道ですね。
斜面がきつくなってきました。
尾根の左が杉の植林で、右が天然の森。
大木のランドマーク
途中に大木が出現します。
これは良いランドマークです。来る際はこれを一つの目印に出来ます。
電柱ゾーン
少しだけ尾根から外れることがあります。
これも赤テープに沿ってゆけば分かるので、とにかく赤テープを探すのです。それで何とかなる。と信じて進みます。
すると突然上に電柱と電線が現れました。
事前情報ではしばらくはこの電線沿いに行けばよいとのことだったので、とりあえず一安心。
これに沿って進みましょう。
しばらく進むと、まさかの林道が現れました。しかし、どうも林道と言えど工事用林道のようで一般車が入るような林道ではないです。道も不安定ですし、本当に使っているのか。
これも上に向かっており、このまま電柱沿いに登っていきましょう。
電柱ゾーンは、電線の為に周辺の木が伐採されており、周りの見通しがいいですね。
途中広場もあり、興味深い地形をした場所もあります。
少し岩が露出し始めました。
それにしてもここの辺りは非常に歩きやすいです。工事用の道でもあるのでしょうし、傾斜も比較的緩やかで大変良いです。
御岳山は神の山。岩も多くなってきて、何やら神々しい姿も見えてきました。
白い岩です。
電波塔
ランドマーク電波塔です。
8:15。
城山からここまでで。35分かかりましたね。
ここはかなり広いエリアです。休憩所には良さそうですね。
NHKって書いてありますね。
電柱があるのはここまで。
この先はまた、道と赤テープを慎重に見ていきながら進んでゆきましょう。
電波塔以降の道
電波塔を出てすぐは、まだそんなに険しいわけでもなく、わかりやすい道が続きます。
少し道の脇に大岩が顔を出していたので、気になって撮りました。でも道を逸れているのであんまりこんなことはしない方がいいのですけどね・・・。
あまりにも何か特別な雰囲気を感じたので・・・。
広い平地と印
しばらくすると、又平坦な場所に来ます。
そこに三角点もあります。きっと好きな人もいるでしょう。
漢字も古いですし、なかなか趣のある三角点です。
加賀低山徘徊部という板もありました。
誰かの記念品なのかな。と思ったらブログありました。結構年期入ってそうですね。
道しるべ
さてやっと、御嶽山山頂への道しるべがありました。正直ひやひやしていましたが、大丈夫そうです。
あと40分だそうです。
ちなみにここ合流点みたいです。下への道もありました。どこに繋がっているかは知りませんが。
そしてこの看板の後ろにはなぜか赤文字で謎の暗号が・・・。
なんですかこれ。「オ」ってかいてあります。
ま、何にしてもこのまま上へ登りましょう。
看板以降の迷いそうな道中
さて、ここらへんで再び気づいたのですが・・・
獣の痕が凄い。
これはどうやら熊ではなさそうですが、だとしても結構新しい傷ですし、なかなか恐怖ではあります。
まらりの木も同じく傷だらけで、なかには古傷の熊らしきものもあり、怖い怖い。
まあいいでしょう。
佐柿の道しるべがあります。
さてこの辺りから訳の分からない道になって行きます。
赤テープを探して。
赤テープを探して。
赤テープを探すのです。
もう赤テープだけが頼り。間違えれば遭難。立ち止まっては赤テープを探し、見つけて、そこまで行き、立ち止まり次の赤テープを探す。そんな感じです。
そうこうしていると正解の道の証が顔を出していくことになります。
御嶽山鉱山跡
先ほどの訳の分からない道を進むと、正解の証が地面にあります。
何やら自然界にはないはずのものが。
これは、この神の山で行われていた鉱山採掘の痕です。
御岳山の東部の山腹には若狭珪石鉱山があり、大正十五年(1926)より山上本鉱床、太田床の採鉱が行われてきた。鉱山の守り神として中腹に七面明神社と稲荷神社を並べて建立し、毎年六月三日の珪石鉱山の例祭に併せて神事が執行された。昭和六十二年(1987)に廃山となり、その際にご神体を伏見稲荷大社に返納している。七面大明神は蛇身ともいう。なお、山頂付近には「蟹の目」と呼ばれる二つの巨岩が突起しており、清水が湧出する洞穴には白へびが棲んでいるといわれている。その付近で加賀山信二社長が鉱床調査を行い、珪石の鉱床を発見したという。
引用:『わかさ美浜町誌 祈る・祀る』
郷土史にもちゃんと載っている鉱山跡です。結構最近までやっていたのですね。
ちなみにこの下に小浜線東美浜駅から出る引込み線があったらしいです。ちょうど今の若狭美浜IC辺りと思われるので、そのあとは残っていないかもしれません。
とにかくここからは、こういった鉱山跡を見ながら登っていきましょう。
といっても正規の登山ルートから少し外れる所も多いので、実際に行く方は自己責任で。私は道を逸れてでもこの鉱山跡を見たかったので、ここで結構時間とらせていただきました。
とにかく記録として残しておくので、ここにも載せておきます。
山の下へ延びる鉄の菅。
レール跡。かなり小さいレールなので、積み荷用の小さなトロッコレールだったと思われる。
白と赤の石があります。これが珪石?
結構きれいですね。
大きな岩がありました。
これが先ほどの郷土史にあった、「蟹の目」というやつでしょうか。
稲荷神と七面神もこういったところに祀られていたのでしょうか。
車輪がありました。人間の肩幅より少し大きいぐらいなので、本当に小さなトロッコだったのでしょう。手押し車みたいな感じだったのでしょうか。
酒瓶。
鉱夫の労いか、神への捧げものか、最後の祝いか。
いろいろと想像します。
何にせよまだまだ人々の痕跡が残っています。
レールが斜面に突き刺さっています。これは最後の証として残したものでしょうか。
何かの目印かな?
何かの意図があるのでしょう。
ドラム缶もあります。左の斜面はかなり急。というか絶壁に近い感じで怖い。
時折こういった謎の穴があります。人工的なものでしょうけど、何の用途があるのかは私にはわかりません。
ここにも大岩があります。加えてレールが飛び出ています。
おそらくこれは「蟹の目」確定でいいと思います。
もしさっきのが蟹の目ならこれで二つ、蟹の完成です。
山頂も近いです。手前の山肌の傾斜が穴のようにえぐれているのがわかります。これが珪石鉱山の痕です。その直下に若狭美浜ICがありますね。あそこが小浜線引込み線の積載所跡とおもわれます。
奥に見えるのが敦賀半島で美浜原電が見えています。手前の海岸は佐田の浜です。
鉱山跡はここまで。さて山頂も近いです。
御岳山山頂
もう山頂です。
というわけで登頂です。
なかなか人が来ない道ということで少々怯えていましたが、何とかここまで来れました。良かったです。
9:00。
結構写真撮りながら来ましたが、休憩はしてなかったので、城山から80分で来れました。といっても、約90分という城山の看板は結構正しかったですね。
望遠で撮ってみました。美浜原電が見えますね。
こちらも望遠で。敦賀です。ここから敦賀が見えるんですね。船が見えます。火力発電所や金ヶ崎の山、ショッピングセンター、敦賀港大橋など敦賀の特徴的な地形や建造物が見えます。
対して美浜町の方は見えません。
とにかく登頂できましたし、写真がかなり多くなってしまったので、ここで締めます。
冒頭でも書いた通り、ここから宮代コースを通って下山しようと思います。
宮代コースには社が存在し、山岳信仰の痕跡を残します。ただ非常に遭難しやすそうなので、注意深く見ていきます。これもまた写真多めになります。そんな感じなので、一旦ここで終わりにします。
では次回へ続く↓
参考文献
『わかさ美浜町誌 祈る・祀る』
『山々のルーツ』
基本情報
※国吉城登山口と同じ。マップは山頂付近(おおよそ)
最寄り駅 | JR小浜線美浜駅から徒歩35分 |
自動車 | 若狭美浜ICから5分 |
駐車場 | 少なくとも20台以上は可能 |
トイレ | 不明。資料館内にあるか。開館前では見つからず。 |
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