多くの人と歴史を見てきた駅舎が出迎えてくれる、福井県福井市川合鷲塚にある鷲塚針原駅。
この昭和3年に建てられた鷲塚針原駅があります。
今回はそんな鷲塚針原駅の魅力と、川合鷲塚~中角間にある知る人ぞ知る名駅を紹介します。
登録有形文化財「鷲塚針原駅」
鷲塚針原の駅舎は、その風貌からもわかるようにかなりの歴史を歩んできました。
駅には「登録登録文化財」のプレートがありました。
平成23年に国登録の有形文化財建造物に指定されています。
昭和3年(1928)に建てられました。つまり、えちぜん鉄道の前の「京福電鉄」のさらに前、「三国芦原電気鉄道」がこの路線を初めて開通させた当初から現存する駅舎となります。
詳しいことは、「福井の文化財」のホームページに書かれています。
福井の文化財公式サイト:「https://bunkazai.pref.fukui.lg.jp/」
現在は、福井鉄道の低床車両が乗り入れていることもあり、この駅舎の中では、低床車両の電子板とランプ両方で知らせています。
画質めちゃくちゃ悪いですが、「低床車」と電光板に書かれています。
今まではなかったものでしょう。低床車両乗り入れがある路線ならではの光景です。
昔の駅舎に新しい時代がやってきています。
ホームの駅名標は、ひらがな表記でした。
また、この三国芦原線について、『河合村誌』にも記述がありました。
『河合村誌』によると、
- 昭和3年に工事開始、12月30日に開通。
- 開通時には花電車でにぎわった。
- 当時の運賃。(鷲塚から)
西福井間で十二銭、福井間で二十二銭、三国駅間で三十五銭、大野三番間で九十五銭。
以上の様子だったといいます。
年末に開通して花電車が走るとなると、それは賑わったことでしょうね。
<2023年6月末発刊の新刊>運送で賑わった鷲塚針原駅
現在の駅前です。駅舎の屋根が瓦屋根なのが特徴的です。駐輪場駐車場とも完備です。
私が訪れた時は土日の昼過ぎくらいで、電車の乗降客は毎回1便につき2,3人程度でしたが、昼間の時間でそれくらいなら、平日や朝夕はそれなりに乗降されている駅と見えます。
そしてこの写真の撮った後ろに、古い建物もありました。(なぜ逆から撮らなかったのか)
又駅前には日通の倉庫や農協の米蔵があり織物やコメの積み出しで賑わったものです。 引用:『河合村誌』 |
郷土誌にはこのような記述があります。
この駅前は商売で賑わっていたのですね。
鷲塚針原駅の魅力
現在も垣間見る木造建築
現在の鷲塚針原駅の外観は、基本トタン素材で覆われていますが、所々に当時の木造の素材だと思われる部分を垣間見ることができます。
例えば写真の格子です。ボロボロですが残っています。
また、北側には木の窓もありました。
瓦屋根と雪除けの屋根
先ほども駅前の写真で紹介しましたが、駅舎の上の屋根が瓦屋根になっています。また、瓦の屋根なので鬼瓦もあります。鬼瓦と言っても「鬼」があるわけでなく、紋がついていました。
その下には、雪除けと思われる屋根がついています。こちらの柱の構造なども歴史のある駅舎の風格をかもし出しています。この2重構造の屋根がまた魅力です。
小さな駅舎ですが、あまり見えない上の方まで魅力が詰まっているのです。
レール素材の装飾
駅舎正面のおしゃれな装飾や柱が見た感じレールの素材でできているように思えます。
こういった質素ながらも装飾を付けているというのが、その時代を思わせる形のように感じます。
また、駅舎横の入口には、確実にレール素材だと思われるものもあります。
こちらは柵の柱ですが、その断面が完全にレールです。
またその柵のガードの部分は木でできているというのがなんともいい味を出しております。
低床電車(福井鉄道フクラム、キーボ)の終点
現在はこの駅は2面3線です。
一番東の線路が低床車両用の線路で、車止めが見えます。写真に写ってませんが、この低床車両専用線路の右側に専用のホームがあります。ここで低床車両は折り返しとなります。
なぜこの駅で福鉄が折り返しなのかはよくわかりません。
えちぜん鉄道と福井鉄道の並び
結構な頻度で福井鉄道の低床車両がやって来ます。
なので、えちぜん鉄道と福井鉄道との2ショットもそれなりに見ることができます。興味のある方は、気軽に2ショットを狙いに来てもいいと思います。
知る人ぞ知る「仁愛グランド前駅」
さて、この鷲塚針原駅近隣には1つ、謎の駅があります。それが、「仁愛グランド前駅」です。
中角と鷲塚針原間にあるといいますが、運賃表にも時刻表にも記されていません。
この駅は、いったいどこにあるのか。どんな駅なのか。何のための駅なのか。見て行きます。
どこにあるのか
仁愛グラウンド前駅があるのは、中角と鷲塚針原間。まさに仁愛グラウンドの前にあります。
県道5号線と三国芦原線が交わる鷲塚踏切の170メートルほど南にあり、その踏切から見えます。
線路の西側にホームがあります。
どんな駅で何のための駅か
駅舎も駅名標もありません。しかも赤錆びている?
一見工事用の駅かとも思う様相です。
この駅は、仁愛学園系列で仁愛グラウンド使用時に、臨時駅で停車する専用の駅です。
なので、一般的にはここで下車も乗車もできないのです。しかし、この駅は京福電鉄時代からあるので、それなりに重宝されてきたのでしょう。
こういった珍しい(そんなに珍しくないかも)な駅があるのもまた面白い所です。普段は通過するので、列車に乗っているときに「あ、ここかぁ」という感じで見ているのもいいと思います。
近代鉄道も立派な遺産
鷲塚針原駅も仁愛グラウンド前駅も貴重な建造物です。
ここに刻まれた歴史は近代ならではの、人の鮮明な記憶と写真や記録によって伝えられることでしょう。
人と歩んできて、人の歩みになったこの鉄道遺産は、今後とも残っていってほしいものです。
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基本情報(アクセス、最寄り駅、駐車場)
鷲塚針原駅
えちぜん鉄道福井駅から電車で21分。
自動車では、福井北ICから車で18分。
駐車場があります。
仁愛グランド前駅
最寄り駅は、えちぜん鉄道鷲塚針原駅から徒歩10分。
自動車では、福井北ICから車で16分。
駐車場はありません。
鷲塚周辺
鷲塚には鷲塚神社があり、数多くの伝説と歴史を伝えています。
併せてそちらも見ておくといいかもしれません。
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