福井県小浜市青井の旧道に大きなタモの木があります。
そこに地蔵さんや名号が書かれた石碑があり、一つの信仰的雰囲気をかもし出しています。そこに埋もれる「タモの地蔵さん」と青井の地蔵に関する言い伝えを記していきます。
地理
国道27号線と小浜線の間に挟まれている土地の山際にある大きなタモの木。
おそらく旧道に当たる場所です。
周辺には寺や神社が多く点在しています。
タモの地蔵さんとは
小浜市青井の坂に大きなタモの木があって、その根元に樹から首だけ出された石の地蔵さんがある。これは樹が大きくなって地蔵さんの下半身をつつんでしまったので、婦人などの腰から下の病に霊験ありといわれ「タモの地蔵さん」で通っている。
引用:『若狭の伝説』
長い年月をかけて信仰されてきたタモの木と地蔵さん。
タモの木への信仰はわかさでは多く見ることができます。木の根元に仏像が祀られている光景もよく見ます。しかしここはその信仰の年月を色濃く感じられる場所です。
実際に顔だけしか見えなくなっています。これからもどんどん埋まっていくのでしょうか。
花も手向けられており信仰の深さが表れています。
ぜひ現地に行ってみて見てほしいのですが、実際は木に埋まっている様子はなく、今はきれいに地面に埋められているような感じになっています。地蔵さんの顔が出ている部分はならされている感じでした。
青井のお地蔵さん
タモの地蔵さんとは別にもう一つ青井の地蔵さんに関する言い伝えがあります。
青井のガードのところから西に少し行ったところに地蔵さんが3つ4つ並んでいる。ある時、勢村の人が小浜で酒を飲み良い機嫌で杖を振りながら家に帰った。ところが朝、起きたら首が回らなくなっており、不思議に思い昨日来た道をたどってみた。すると青井にある地蔵さんの一つの首が落ちていた。その人は自分の首が回らないのは、夕べ酒によって杖を振り回りていた時に地蔵さんの首を叩き落してしまったからなのではないかと思った。早速家からセメントを持ってきて地蔵さんの首を直したら、その人の首も回るようになった。
よって「お地蔵さんは大切にしないと罰が当たる。そのお地蔵さんの前を通る時は手を合わせる。」という話がある。
参考:『続 ふるさとの昔話』
タモの木地蔵も信仰が深いですが、こちらも信仰されています。タモの木地蔵と同じ場所にあり、こちらもタモの木の根元の信仰であると思われます。
実際に4体の石仏が置かれており、化粧もされています。
箒や椅子が置かれ、屋根が付けられた空間。横には大きなタモ。一つの完成された空間です。
タモの裏側
タモの木の裏にも何かあります。
名号が書かれた石碑です。これはどういったものなのでしょうか。
年代も古いものです。
ネット検索をかけると少し物騒なことが書かれていました。
外部サイト記事【青井木の股地蔵尊のタブノキ】
刑場だったという言い伝えだそうです。
本当かどうかはともかく、そういった言い伝えも存在しているとのことです。
信仰の場所
最後に刑場などという言葉が出てきてしまいましたが、タモの木の麓にある地蔵さんの空間は完成された民間信仰の空間でした。特に恐れることはないと思います。
長い年月信仰されてきた民間信仰の地蔵さんとタモの木の組み合わせをその身で体感してみると面白いかもしれません。
参考文献
『若狭の伝説』
『続 ふるさとの昔話』
WEBサイト『巨樹と花のページ』
基本情報
最寄り駅 | 小浜線小浜駅から徒歩23分 |
自動車 | 小浜ICから8分 |
駐車場 | なし |
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