西山公園と長泉寺山~山道のその先へ。つつじ咲き、俗世と異界の間【鯖江市】

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西山公園・長泉寺山

福井県鯖江市を代表する名所、西山公園。ここは長泉寺山ともいい、祭りも盛んにおこなわれているこの公園ですが、この山は信仰の山でもあります。

石像が並んでいたり、古墳があったり、仏像が並んでいたりする所もあります。今でも北側は山道や信仰の空気が漂う空間となっています。

今回はそんな俗世と異界の間にあるような西山公園、長泉寺山を散策します。

地理、名前

西山公園、もとい長泉寺山は、鯖江の町の中心に位置する場所にあります。
ハピライン鯖江駅からも福鉄西鯖江駅からも近い場所にあり、まさに町中にある山です。

長泉寺山は121.6メートルの山。鯖江台地の南端に位置する山となっています。

『続・山々のルーツ』では、標高112mとなっていますが、『鯖江市史 通史編 上巻』では、121.6mとなっています。

この山は、長泉寺山、西山公園以外にも昔からの呼び名があると言います。

  • 長泉寺山
  • 西山公園
  • 三角山
  • 三太山
  • 御坂山
  • 遇山
  • 王山
  • 大山

などと言われて来たようです。

またこの一帯を「岱野(たいの)」「上野ヶ原」と言われたようです。おそらく鯖江台地の事と思われます。

平安時代には歌にも詠まれる程だったようです。

長泉寺山というのはその名の通り、長泉寺というお寺があったからつけられた名前とされています。信仰の色は濃いです。

西山公園

西山公園はつつじ祭りや紅葉祭りなどがあり、レッサーパンダで有名な動物園もあります。道の駅もあり、まさにテーマパークです。

道の駅は休日になるとほぼ満車。道の駅と公園、動物園が連なっているテーマパークなので人気なのです。

西山公園・長泉寺山

せっかくなので私はつつじ祭りの時に来ました。大変な賑わいでした。

西山公園・長泉寺山
西山公園・長泉寺山
西山公園・長泉寺山

つつじはよくメディアでも流れるが如く、扇状に広がった園は下から見ても上から見ても美しいのです。

西山公園・長泉寺山
西山公園・長泉寺山
西山公園・長泉寺山

つつじ通りに架かる橋も特徴的で、たもとには芝桜が敷かれています。これは一つのランドマークとなっています。

西山公園・長泉寺山

展望台

展望台へは結構上ります。

途中のいくつかの場所からも町を眺望することは出来ますが、せっかくなら一番上の展望台へ行くこともお勧めします。

西山公園・長泉寺山

ただわけのわからない急坂もあったりするので、足腰がわるい方は無理しないほうがいいです。

西山公園・長泉寺山

近くには旧北陸本線を望むことができます。

西山公園・長泉寺山
西山公園・長泉寺山

西山公園から続く石像の先には

さて、ここからが本命です。

展望台まで登ったことのある方ならわかると思いますが、ずっと謎の石像に付きまとわれます。というか道沿いに石像群がずっと並んでいるのです。

西山公園・長泉寺山

曰く、「祈りの道」だそうです。

西山公園・長泉寺山

こんな感じでずっと石仏が並んでいます。仏像のような、でも中には仏像ではない人物もいるような。とにかく何か祈りに関係する姿のようです。

その石造群は、途中から舗装された道を逸れて山道へ入っていくのです。

西山公園・長泉寺山

西山公園の展望台まで行ったことある方は不思議に思った方もいるかもしれません。

「この石像は一体どこに続いているのだろう」と。

西山公園・長泉寺山

今回、この石像の最後まで行きます。

西山公園・長泉寺山

石像群は山道沿いをずっと続いています。これが結構続くのです。

皆、まさに祈りの道にふさわしく、手を合わせて祈っているような恰好をしています。他にもいろいろな格好、顔がありますが、基本的に人物の石像の祈りの格好なのでしょう。

いったいどこまで続いているのか。

西山公園・長泉寺山

途中分岐がありますが、とりあえず石像沿いの道を進むことにします。

西山公園・長泉寺山

また分岐です。分岐がいくつかあります。

それでも石像群沿いを行きます。いったい何が待っているのか。このまま下山するのか。

西山公園・長泉寺山

と思ったら終わりです。この祈りの石像群には終わりがあったのです。なかなか急に終わります。

西山公園・長泉寺山

ん?

西山公園・長泉寺山

まさかの最後はタヌキ。なぜ今まで人物や仏像だったのに最後だけタヌキ。

つまりこれは「タヌキに化かされた」ということなのでしょうか。してやられました。

西山公園・長泉寺山

この先はただの山道。タヌキに誘い込まれ、山をさまようことになってしまいました。

               

長泉寺山

さて、タヌキに化かされたところで、改めて長泉寺山を巡ろうと思います。

長泉寺山には所々細かいピークがあります。これも長泉寺山の特徴で、『山々のルーツ』では、これらを「たんころ山」だとか「狐山」だとか言われて来たようです。

回り道もできますが、ピークに何かあると見逃がしたくないので、一々上ったり下ったりを繰り返しました。

獣もいそうな雰囲気ですが、森林浴にはちょうど良い雰囲気の場所でした。

長泉寺山古墳群

タヌキに騙された先の道には、いろいろと歴史的遺構が残っていました。

その中の一つが、長泉寺山古墳群。

西山公園・長泉寺山
西山公園・長泉寺山

未発掘らしく、中の副葬品は不明とのこと。調査がなされていないのですかね。

時代は古墳時代前期と推定。(三世紀後半から四世紀)
丹南の中でも最古級の前方後円墳ということです。

『続・山々のルーツ』では、このような記述がみられます。

 この長泉寺山にも、この付近を治めた豪族達の墳墓だった古墳が散在する。小規模なものではあるが、前方後円墳をはじめ、円墳、方墳、方形台状墓など百余も数えられる。山頂近くには、築城などにされたにもかかわらず破損せず、全長五十二メートルばかりの前方後円墳がある。これは未発掘であるが四世紀末のものと推定されている。
 この山の通称「西山」といわれる所の東側山麓から、昭和三十二年だったか偶然にも青銅製の「釧(くしろ)」が、いっぺんに九個も出土して騒がれた。そのうち八個は、各四個ずつ二つの鋳型で鋳造されたもの。この「銅釧(かなくしろ)」の出土遺跡はきわめて少なく、その分布区域も静岡以西に限られ、ここは日本海側で東限ではないかともいわれていた。その後、今立郡池田町水海の鵜甘神社(八幡神社)でも出土したが、これは残念ながら盗まれてしまった。
 「釧」とは、古代人が装飾のため、腕にはめたもので、直径七センチくらいで、石や貝製のものもあった。古墳の副葬品であって、単独で出土するものではないと言われている。山上に散在した小古墳からの出土品であろう。このほかに勾玉、管玉、丸玉、小玉などの装身具から、鉄剣、鉄鏃、鉄刀子、鉄鉇、鉄斧、鉄鎌などの武具、工具、農機具類なども出土した。古墳の数から推しても、山麓には多くの集落がひらけ、この山を祖霊の鎮まります山として、尊崇してきたものと思われる。出土品の「凹線文系土器」は弥生中期のもので、その製法が山陰方面から伝承したのか、あるいは製品を輸入したのか興味ある所である。
引用:『続・山々のルーツ』

このように書かれています。

この長泉寺山は葬送の地でもあったようです。そしてそれを崇め祀って、信仰の地へとなっていったのですね。

妙見堂跡

西山公園・長泉寺山
西山公園・長泉寺山

その信仰の地の名残なのでしょうか。妙見堂の跡がありました。

石造が崩れており、お堂があったであろう階段の先へは行けなくなっています。

かつて信仰の場となっていたのでしょう。

この妙見堂は、水落から続いている道から繋がっていました。そして水落の方へ向いています。水落の町の妙見堂だったのかもしれません。

白山神社

西山公園・長泉寺山

この白山神社については後の記事にて詳しく書きます。

ただ、簡単に言うと、泰澄大師が広めた白山信仰の長泉寺の霊場の遺構の一部がこの白山神社ではないか。とのことです。

山奥にあり、一応ここは水落になるのですが、長泉寺の白山神社としてここに現存しているのだとされています。

ちらっと見える案内の忠霊場は、山のふもとにあります。

西国三十三所石仏

西山公園・長泉寺山

さて、先ほどタヌキに化かされたあたりまで戻ってきました。すると、タヌキに化かされ続けていた石像群の反対側の分岐に違う石像群があることを見つけました。

西山公園・長泉寺山
西山公園・長泉寺山

こちらは完全な石仏という感じです。

またタヌキに化かされるんじゃないかと半信半疑でそのあとをたどっていくと、説明板がありました。

西山公園・長泉寺山

西国三十三所石仏だったのです。よかったです。タヌキはいませんでした。

西山公園・長泉寺山
西山公園・長泉寺山

説明板によると、

 昭和二十三年ごろまで村内のの人々が西国三十三所御詠歌を唱えて登り登山で昼食をとる風習が残っていた。後にこの風習は途絶え参道は荒れていたが、平成四年から有志によって整備され平成二十四年には鯖江百景に選ばれるに至った。
現地説明版 一部抜粋

ということのようです。

これまた信仰の山という一面を見ることができました。

西山公園・長泉寺山

昔から信仰と異界と俗世の混じる山だった

昔はこの西山公園の山から花火が打ち上げられていたということです。それが夏の風物詩だったと。

たとえ信仰や古墳などの俗世とは離れた部分を持ち合わせていようとも、昔から親しまれていたということがよくわかります。

現代において、福井県内でも有数の遊園地という位置づけの場所と言えるであろうこの西山公園は、長泉寺山という人々から親しまれる山を継いで、これからも人々を楽しませる公園としてあり続けることでしょう。

参考文献
『鯖江市史 通史編 上巻』著者鯖江市史編さん委員会 編さん 出版1993.3
『続・山々のルーツ』著者上杉喜寿 出版1987.9
現地説明版

次の記事で長泉寺山と信仰について、さらに深く掘り下げていきます。

基本情報(アクセス)

最寄り駅福井鉄道西鯖江駅から徒歩2分
自動車鯖江ICから6分
駐車場あり
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